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X-5 真空管アンプ

X-5 真空管アンプ

Lotton X-5 シングルエンド超線形真空管アンプ:クラシック EL34 の現代的解釈
EL34 は1949年に誕生した五極管で、イギリスの Mullard 社によって設計されました。その用途は広く、ラジオ、エレキギターアンプ、ホームオーディオから軍用機器に至るまで見られます。EL34 は真空管時代の興隆と衰退を越え、オーディオ界の伝説を証明する存在であり、戦後の工業デザイン黄金期をも背負っています。それは単なる電子部品ではなく、ヨーロッパの工芸、音楽の美意識、そしてオーディオ文化全体の記憶の担い手でもあります。
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詳しい紹介

台湾設計、実用主義の結晶:楽騰 X-5 真空管アンプの誕生
台湾ブランド「楽騰」は、中国の博之韵(ボー・ジー・ユン)管機キットを台湾で十年以上販売してきました。経済的で手頃な価格と口コミの評判に支えられ、主流メディアに取り上げられなくてもDIYサイトで優れた販売実績を築いています。

この実績を受けて、楽騰の張建祥氏は独自にアンプ設計に挑戦する決意を固めました。消費者のフィードバックと数十年にわたる電子工学の堅実な基礎知識を基に、無駄な高級パーツに頼らず、最も合理的な回路を積み上げてX-5真空管アンプを完成させました。
ある先輩から「合理的なプリント基板設計は、組み立てよりもはるかに難しい」と聞いたことがあります。これがX-5が生産コストを効果的に抑えられる秘訣でもあります。

X-5を手に取ると、その驚くべき重量感にまず驚かされます。これは何よりも重要なトランスと出力トランスの製造技術によるもので、優れた音質の土台となっています。
純粋なオーディオが贅沢品となった2025年においても、X-5真空管アンプは手軽に入手可能です。これが楽騰電子の基本理念です。


EL34の多国籍ルーツと不朽の生命力
Mullardは実はPhilipsの子会社であり、当時のヨーロッパ真空管工芸の頂点を象徴しています。EL34は英国のMullardで製造され、オランダやベルギーではPhilips、ドイツではSiemensやValvo、さらに東西ドイツに分かれていたTelefunken、フランスではRTCが製造しました。
このためEL34は「同型番で多国籍のルーツ」を持つ数少ないクラシック管となりました。現在でもJJ、曙光(Shuguang)、貴族之声(Noble Sound)、Svetlana、Reflectorなど多くのブランドがEL34を生産し、新素材や新技術で改良を続けています。
産地によって音色が異なるのもEL34の魅力の一つです。希少なEL34は高価ですが、市場には手頃な価格帯の選択肢も多く、真空管アンプ入門者にはEL34から始めるのが賢明な選択と言えます。


2つの実用的な工夫:負帰還スイッチとプリアンプバイパス
EL34の名作Dynaco ST-70以降、負帰還(Negative Feedback, NFB)の採用は成熟した設計法となりました。そのメリットは以下の通りです:

  • 全高調波歪み(THD)の大幅低減:NFBは音声帯域の非線形歪みを効果的に抑え、クリアで純粋な音を実現。超線形接続で五極管の歪みを低減した上で、更にNFBで0.1~1%に抑制可能。

  • 周波数特性のフラット化:NFBは高域と低域の変動を抑制し、システム全体でより中立的かつ予測可能な特性を実現。優れたトランスと組み合わせれば20Hz~40kHzの帯域をカバー。

  • 出力インピーダンスの低下(ダンピングファクター向上):NFBによりダンピングファクターが上がり、低音のコントロールが向上し、スピーカーの過剰振動を防止。

  • 音質の安定性と線形性向上:完全オープンループの三極管と比べ、一貫性と予測可能性が向上。

ただし、過剰な負帰還には欠点もあります:

  • 音楽性の減少:音が硬く冷たくなり、中域の密度が薄れ、感情表現が乏しくなり、ダイナミクスが圧縮され、細部が「平均化」されることも。

  • 位相不安定による発振リスク:帰還回路設計の不備や出力トランスの不適合で高周波発振や破音が生じる場合あり。

  • 「管らしさ」の減少:超線形+負帰還設計は真空管の特徴的な「色彩」や「味わい」が薄れ、トランジスタアンプに近づく傾向あり。

  • スピーカーの組み合わせに敏感:高効率かつ低ダンピングの全域スピーカーやホーンスピーカーとの組み合わせで音が「クリーン過ぎ」たり活気が欠けたりする可能性あり。

X-5は負帰還をスイッチでON/OFFできる設計にし、ユーザーが好みや組み合わせに応じて自由に選択できるようにしています。
さらにプリアンプのバイパス機能も実用的です。現代の多くのDACは音量制御ICとリモコン機能を内蔵していますが、X-5は内蔵音量制御を完全に遮断できるため、DACのリモコン操作や高性能リレー音量コントロール、MUSES前段との組み合わせが可能で柔軟性を高めています。


温かく、厚みのある、ストレートなサウンド表現
X-5はケーブル、音源、電源に非常に敏感であり、それは優れた解析力の証でもあります。純正の曙光管は一定のレベルを持っており、すぐに交換する必要はありません。すべての電子部品、トランスは長時間のエージング(Run-in)が必要で、音の解像度は徐々に高まり、音色も厚みを増します。初めの24時間で明確な進歩を感じられますが、最低でも500時間のエージングが望まれ、最高のパフォーマンスを引き出します。

一方、「極めて透明で細かなディテール」を求める方には、X-5の真空管アンプは「やや控えめな」表現になるかもしれません。そうした特性は直熱三極管が得意とする領域です。
中域と低域はX-5の得意分野であり、全帯域のバランスも優れているため、多様な音楽ジャンルに適応します。

もちろんスピーカーの選択とマッチングも重要です。英米系スピーカーとも相性が良いですが、高効率スピーカーを選ぶことがポイントです。楽騰は同時にK4フルレンジスピーカーも発売しており、これも非常に良い組み合わせとなっています。